在庫管理システムには、商品マスタ、入庫、出庫、在庫一覧、在庫移動、棚卸し、ロケーション管理、バーコード、ロット・期限管理、CSV、外部システム連携など、多くの機能があります。
しかし、機能が多ければ多いほど良いわけではありません。
商品数が少なく、1人で管理している企業と、複数倉庫・複数担当者で毎日多数の入出庫を行う企業では、必要な仕組みが大きく異なります。
また、現在ExcelやAccessで独自の在庫管理を行っている企業の場合、既存業務をそのままシステムへ移すだけでは、二重入力や不要な作業まで残ってしまう可能性があります。
重要なのは、最初にシステムの機能一覧を見ることではなく、
- 「現在どこで在庫差異が発生しているのか」
- 「誰が、いつ、どの情報を入力しているのか」
- 「どの作業を減らしたいのか」
を整理したうえで、必要な機能を選ぶことです。
この記事では、倉庫、工場、卸売、小売、店舗、ECなどで在庫管理を行う企業に向けて、在庫管理システムの基本機能から、バーコード・QRコード、ロケーション、入出庫、棚卸し、複数倉庫、外部システム連携まで詳しく解説します。
さらに、無料アプリやExcelで十分なケース、SaaSが向いているケース、自社業務に合わせたテンプレート型カスタマイズ開発を検討すべきケースまで整理します。
在庫管理システムを「機能の多さ」で選ぶのではなく、自社に本当に必要な機能だけを選ぶための判断材料として活用してください。
在庫管理システムとは?入庫・出庫・棚卸・保管場所を一元管理する仕組み
在庫管理システムとは、商品、原材料、部品、資材、備品などについて、現在の数量、保管場所、入出庫履歴、棚卸結果などをデータで管理する仕組みです。
一般的には、
- 商品・品目マスタ
- 倉庫・保管場所
- 入庫
- 出庫
- 在庫一覧
- 在庫移動
- 入出庫履歴
- 棚卸し
などが基本になります。
さらに企業の業務内容に応じて、
- バーコード
- QRコード
- ロット
- 賞味期限・使用期限
- シリアル番号
- 発注点
- 帳票
- CSV
- POS連携
- EC連携
- 販売管理連携
- 基幹システム連携
などを追加します。
在庫管理の目的は、単に現在庫を表示することではありません。
「なぜこの数量になったのか」を履歴から確認できることも重要です。
例えば、昨日100個あった商品が今日80個になっていた場合、
- 販売によって20個減ったのか、
- 倉庫間移動したのか、
- 廃棄したのか、
- 入力漏れなのか、
を確認できなければ、在庫数だけを表示しても十分な管理とはいえません。
在庫管理システムでは、数量だけでなく、在庫が増減した理由や担当者、日時などを記録することで、在庫の信頼性を高めます。
在庫数が合わない原因は、システムがないことだけではない
「Excelだから在庫が合わない」「システムを入れれば在庫が合う」と単純に考えるのは危険です。
在庫差異の原因は、多くの場合、現場作業とデータ入力の間にあります。
例えば商品が届いた際に、現場では受入を行っているものの、Excelへの入力は1日の最後にまとめて行う運用だったとします。
その間、実物は倉庫に存在しますが、Excel上ではまだ入庫していません。
出庫についても同じです。
商品を先に出荷し、伝票をまとめて事務所へ持ち帰ってから入力する場合、実際の在庫とシステム上の在庫には時間差が発生します。
また、
- 商品コードの入力方法が人によって違う
- ケースとバラの単位が統一されていない
- 返品を記録していない
- 廃棄処理をしていない
- 倉庫間移動を口頭だけで済ませている
- 仮置きした商品を移動登録していない
- 棚卸差異を原因不明のまま数量修正している
といった状態でも在庫差異は発生します。
したがって、システム導入時には「何の機能を付けるか」だけでなく、「どのタイミングで誰が登録するか」まで設計することが重要です。
在庫管理システムの基本機能一覧
在庫管理システムの主な機能を整理すると、次のようになります。
| 機能 | 主な内容 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 商品・品目マスタ | 商品コード、商品名、分類、単位など | 管理対象を統一する |
| 倉庫・保管場所 | 倉庫、エリア、棚など | 保管場所を明確にする |
| 入庫 | 入庫日、数量、入庫先を登録 | 在庫増加を記録する |
| 出庫 | 出庫日、数量、出庫先を登録 | 在庫減少を記録する |
| 在庫一覧 | 現在庫を確認 | 在庫状況を把握する |
| 在庫移動 | 倉庫・棚間の移動 | 保管場所変更を記録する |
| 入出庫履歴 | 在庫増減の履歴 | 差異原因を追跡する |
| 棚卸管理 | 実在庫と帳簿在庫を比較 | 在庫精度を確認する |
| CSV入出力 | データ取込・出力 | Excelや他システムと連携する |
| 帳票 | 在庫一覧・履歴等を出力 | 社内外で情報を利用する |
| 権限管理 | 利用者ごとに操作を制御 | 誤操作・不正変更を防ぐ |
これらが基本となる機能です。
そのうえで必要に応じて、
バーコード、QRコード、ロット、期限、発注点、承認、POS連携、EC連携、販売管理連携などを追加します。
最初から全部の機能を導入する必要はない
在庫管理システムの相談では、
- 「バーコードも必要です」
- 「ロット管理も必要です」
- 「発注まで一緒にしたいです」
- 「AIも使いたいです」
と、検討初期から機能が増えていくことがあります。
しかし、現在の最大の問題が、
「Excelの在庫一覧が複数存在し、最新在庫が分からない」
ことなのであれば、まず必要なのは高度なAIではありません。
商品マスタ、入庫、出庫、在庫一覧、棚卸しなどの基本機能を整えることが先です。
例えば、
- 第1段階
- 商品マスタ
- 入庫
- 出庫
- 在庫一覧
- 入出庫履歴
- 棚卸し
- 第2段階
- ロケーション
- 在庫移動
- CSV
- 帳票
- 権限
- 第3段階
- バーコード
- ロット
- 期限
- 発注管理
- 第4段階
- 販売管理
- POS
- EC
- 基幹システム連携
と段階的に広げる方法があります。
必要な機能だけから始めることで、初期費用、導入期間、現場教育の負担を抑えやすくなります。
Mactism Quick Pack 在庫管理で標準化している機能
マクティズムでは、在庫管理で多くの企業に共通する機能を「Mactism Quick Pack 在庫管理」としてテンプレート化しています。
標準テンプレートで想定している主な機能は次のとおりです。
| 標準テンプレート機能 | 内容 |
|---|---|
| 商品・品目マスタ | 品目情報、分類、単位等を管理 |
| 倉庫・保管場所管理 | 倉庫、エリア、ロケーション等を管理 |
| 入庫登録 | 入庫日、数量、入庫先等を登録 |
| 出庫登録 | 出庫日、数量、出庫先等を登録 |
| 在庫移動 | 倉庫・ロケーション間を移動 |
| 在庫一覧 | 現在庫を一覧で確認 |
| 入出庫履歴 | 在庫増減履歴を確認 |
| 棚卸管理 | 棚卸計画、実績、差異を管理 |
| CSVインポート | マスタ・在庫等を取り込み |
| CSVエクスポート | データをCSV出力 |
| 帳票・一覧出力 | 在庫一覧・入出庫一覧等 |
| 権限管理 | 利用者・権限を管理 |
これをそのまま全企業へ適用するのではありません。
実際には現在のExcel、Access、紙帳票、既存システムなどを確認し、
- そのまま使える標準機能
- 設定・項目変更で対応できる部分
- 追加開発が必要な部分
を分けます。
在庫管理システムの詳細を見る
在庫管理をExcelで続けていると、入出庫履歴、棚卸、在庫差異、複数人利用で限界が出やすくなります。Excel修正だけでなく、在庫管理システム化も相談できます。
バーコード・QRコード・RFID・ハンディ端末は「追加機能」として考える
バーコード、QRコード、RFID、ハンディターミナルは便利ですが、すべての企業で最初から必要なわけではありません。
商品数が少なく、入出庫件数も少ない場合は、パソコンやタブレットから直接入力した方がシンプルなこともあります。
反対に、
- SKUが多い
- 見た目が似た商品が多い
- 入出庫件数が多い
- 出荷ミスが発生している
- 棚卸し件数が多い
- 複数の作業者がいる
場合には、コード読取が有効な可能性があります。
つまり、
使えるから付ける
のではなく、
その機能によってどの作業が減るか
で判断します。
在庫管理システムとWMSの違い
在庫管理システムとWMSは似ていますが、目的が異なります。
在庫管理システムは、在庫数量、入出庫、保管場所、棚卸しなど、在庫情報の管理を中心とします。
WMSはWarehouse Management Systemの略で、倉庫内作業そのものをより詳細に管理します。
| 項目 | 在庫管理システム | WMS |
|---|---|---|
| 主目的 | 在庫数・状況を管理 | 倉庫作業全体を管理 |
| 入出庫 | ○ | ○ |
| 棚卸し | ○ | ○ |
| ロケーション | ○ | ◎ |
| ピッキング指示 | 必要に応じて | 主要機能 |
| 作業進捗 | 限定的 | 主要機能 |
| 作業者管理 | 限定的 | 対応する製品が多い |
| 大規模物流 | 要件次第 | 適している |
小規模・中規模の自社倉庫で、
- 「まず在庫数を正確にしたい」
- 「Excelをやめたい」
- 「棚卸しを改善したい」
という場合には、在庫管理システムから始める方が適していることがあります。
一方、
- 複数荷主
- 大量出荷
- 詳細なピッキング指示
- 作業員別進捗
- 自動倉庫
- マテハン設備連携
などが必要であれば、本格的なWMSを検討します。
大きなWMSを導入することが目的ではなく、現在の課題に必要な範囲を選ぶことが重要です。
在庫管理システム導入のメリット
在庫管理システムの主なメリットは、「在庫数が表示されること」だけではありません。
-
在庫確認の時間を減らせる
倉庫担当者へ電話したり、複数Excelを確認したりする作業を減らせる可能性があります。
-
履歴から原因を追いやすくなる
在庫差異が発生した場合、入庫、出庫、移動などの履歴から原因を調べやすくなります。
-
複数人で同じ情報を共有できる
特定担当者のExcelだけに情報がある状態を減らせます。
-
棚卸しを管理しやすくなる
帳簿数量と実在庫を比較し、差異を一覧化できます。
-
保管場所を確認しやすくなる
ロケーション管理を行えば、どの商品がどこにあるかを確認できます。
ただし、システムを導入するだけで自動的に在庫精度が上がるわけではありません。
正しい運用が必要です。
導入時に発生する負担・デメリット
在庫管理システムには導入負担もあります。
例えば、
- 商品マスタ整理
- 既存在庫確認
- データ移行
- 操作教育
- 棚番号設定
- 運用ルール変更
- 端末購入
- ラベル作成
などです。
現在のExcelに重複商品が大量に登録されている場合、新しいシステムへそのまま移しても問題は解決しません。
システム導入を機会にマスタを整理する必要があります。
また、現場担当者へ新しい操作方法を覚えてもらう必要もあります。
したがって、開発費だけでなく「導入するための社内工数」も計画に含めることが重要です。
バーコード・QRコード在庫管理の基本的な仕組み
バーコードやQRコードを利用する場合は、通常コードそのものにすべての在庫情報を持たせるわけではありません。
例えば商品のバーコードを読み取ると、
商品コード → 商品マスタ検索 → 商品名・規格を表示 → 数量を入力 → 入庫・出庫処理
という流れになります。
棚にもコードを付ける場合は、
商品コードを読む → 棚コードを読む → 数量を入力
という形で、
- 「何を」
- 「どこへ」
- 「いくつ」
登録したのかを記録できます。
バーコード・QRコード・RFIDの違い
| 方式 | 特徴 | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 一次元バーコード | 低コストで普及している | 商品・ケース単位の管理 | 読取方向・ラベル状態 |
| QRコード | 情報量が多くスマホでも読みやすい | 棚・備品・独自管理 | 印刷品質・カメラ性能 |
| RFID | 非接触で複数読取が可能な場合がある | 大量処理・資産管理 | 費用・読取環境 |
RFIDは非常に便利な場合がありますが、バーコードより導入費用や機器検証が必要になる傾向があります。
「最新だからRFID」という選び方ではなく、読取件数、商品特性、現場環境、費用対効果で判断します。
スマートフォンでバーコード・QRコードを読み取る方法
比較的小規模な現場では、スマートフォンやタブレットを在庫管理端末として利用することもできます。
専用アプリやWeb画面を開き、カメラでコードを読み取ります。
専用ハンディ端末を全員分用意する場合と比べて、初期投資を抑えられる可能性があります。
ただし、
- 読取速度
- バッテリー
- 耐久性
- 手袋使用時の操作
- Wi-Fi環境
- 紛失時のセキュリティ
などを確認します。
1日に数十件だけ読む現場と、1日に何千回もスキャンする現場では、適した端末が異なります。
業務用ハンディターミナルが向いているケース
業務用ハンディターミナルは、
- 連続して大量に読み取る
- 倉庫内を持ち歩く
- 落下する可能性がある
- 手袋を着用する
- 粉じん・水滴がある
といった現場で有効です。
物理キーを使える端末であれば、タッチ操作が難しい現場でも操作しやすくなる場合があります。
導入時には端末価格だけでなく、
- 予備機
- 充電器
- バッテリー
- 修理・交換
- 端末設定
まで考えておきます。
商品マスタ・SKU・品番を整理する
バーコード導入より前に重要なのが商品マスタです。
例えば同じ商品が、
- A商品
- 商品A
- A商品
として3件登録されていれば、システム上は別の商品として扱われる可能性があります。
商品コードやSKUを決め、
- 商品名
- 規格
- 分類
- 単位
- バーコード
- 仕入先
- ロット管理要否
などを整理します。
ケースとバラの両方で管理する場合には、
1ケース=12個
などの換算ルールも明確にします。
マスタ設計が曖昧なまま高度な機能を追加しても、在庫精度は上がりません。
入庫管理機能
入庫は、在庫が増える処理です。
代表的には、
- 仕入
- 製造完成
- 返品
- 倉庫間移動
- 在庫調整
などがあります。
単に数量を増やすのではなく、「なぜ増えたか」を処理区分として残すことが重要です。
例えば顧客返品で戻ってきた商品を、通常仕入と同じ入庫として処理してしまうと、後から理由を確認できません。
入荷・検品時の数量確認
商品を仕入先から受け取る場合には、
- 発注数量
- 実際の納品数量
- 商品
- 状態
などを確認します。
バーコードを使用する場合には、商品を読み取って予定データと照合します。
ロットや期限が必要な商品では、この段階で登録します。
破損品や検品保留品は、通常在庫とは別に管理する方法があります。
出庫管理機能
出庫は在庫が減る処理です。
代表的には、
- 顧客出荷
- 店舗販売
- 製造投入
- 社内使用
- 廃棄
などがあります。
出庫理由を区別することで、
「なぜこの在庫が減ったのか」
を確認できます。
製造業の場合、部品を生産ラインへ払い出した処理と、完成品を顧客へ出荷した処理は意味が異なるため、処理区分を分けることがあります。
ピッキング・出荷検品
出荷する商品を倉庫から集める作業をピッキングといいます。
システムにロケーション情報があれば、
- 商品A
- 棚A-03-02
- 5個
などの指示を表示できます。
さらに出荷時に商品をスキャンすれば、指示商品と実際に集めた商品が一致しているか確認できます。
ただし、小規模倉庫では高度なピッキングシステムまで必要ない場合もあります。
現在の出荷件数とミス発生状況から必要性を判断します。
返品・廃棄・在庫移動などの例外処理
在庫管理で差異が発生しやすいのは、通常の入庫・出庫より例外処理です。
例えば、
- 顧客返品
- 仕入先返品
- 破損
- 廃棄
- サンプル使用
- 社内使用
- 棚間移動
- 倉庫間移動
です。
これらを口頭だけで処理すると、現物とシステム在庫がずれる原因になります。
処理区分を設けて履歴を残します。
販売・EC・生産・基幹システムとの連携
在庫管理システムを他システムと連携することで、二重入力を減らせる可能性があります。
例えば、
EC注文 → 在庫引当 → 倉庫出荷 → 販売管理へ出荷実績
という流れです。
製造業であれば、
生産指示 → 原材料出庫 → 完成品入庫
という連携も考えられます。
連携方法としては、
- API
- CSV
- データベース
- 定期バッチ
などがあります。
重要なのは「API連携できるか」だけではありません。
どのシステムを正とするのかを決めます。
すべてをリアルタイム連携する必要はない
リアルタイム連携は便利ですが、開発費や運用複雑性が増える場合があります。
1日1回のCSV取込で十分な業務もあります。
数分おきに同期した方がよい業務もあります。
EC在庫のように販売可能数へ影響する情報は短い間隔が求められることがあります。
業務上必要な更新頻度を明確にしてから方式を決めることが重要です。
ロケーション管理機能
ロケーション管理とは、商品が倉庫内のどこにあるかを管理する機能です。
例えば、
大阪倉庫 → Aゾーン → 03通路 → 05棚 → 2段目
というように保管場所をコード化します。
在庫管理画面から、
- 商品名
- 数量
- ロケーション
を確認できれば、商品を探す時間を減らせる可能性があります。
仮置き場・返品置き場・不良品置き場もロケーションとして管理する
実務では、商品が通常棚だけに存在するとは限りません。
例えば、
- 入荷した直後の仮置き場
- 検品待ち
- 返品検品待ち
- 不良品
- 廃棄待ち
などがあります。
これらをシステム上で区別しておくことで、
「在庫数は存在するが販売できない」
といった状態も表現しやすくなります。
固定ロケーションとフリーロケーション

固定ロケーションは、商品ごとに保管場所を決める方式です。
担当者が位置を覚えやすく、単純な運用に向いています。
一方で商品量が少なくても専用棚を確保するため、空きスペースが発生する場合があります。
フリーロケーションは空いている場所へ商品を保管し、その都度システムへ登録します。
スペースを効率よく使いやすい反面、登録漏れがあると商品を見つけられなくなります。
| 方式 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 固定 | 覚えやすい・運用が単純 | 空きスペースが発生 |
| フリー | 保管スペースを活用しやすい | システム登録が重要 |
| 併用 | 商品特性に応じられる | ルール設計が必要 |
複数倉庫・複数店舗の在庫管理
複数拠点がある場合には、
- 大阪倉庫:100
- 東京倉庫:50
- 店舗A:20
という拠点別在庫と、
全社合計:170
の両方を確認できると便利です。
倉庫間移動を行う場合は、
出庫元 → 移動中 → 入庫先
という状態を持つ方法があります。
出庫元だけ在庫を減らし、入庫先へまだ反映されていない時間帯でも、在庫がどこにあるか確認できます。
棚卸管理機能
棚卸しとは、実際の在庫を数え、システム上の在庫と比較する作業です。
例えば、
- システム在庫:100
- 実在庫:98
であれば、
差異:-2
です。
重要なのは、単純に98へ書き換えるだけではありません。
なぜ2個減っているのかを確認します。
在庫差異の主な原因
代表的な原因は、
- 入庫漏れ
- 出庫漏れ
- 数量入力間違い
- 誤出荷
- 倉庫移動未登録
- 返品未処理
- 廃棄未処理
- 単位換算間違い
- 商品コード間違い
- 棚の置き間違い
などです。
同じ商品で差異が繰り返し発生しているのであれば、単純な入力ミスではなく、業務フロー自体に問題がある可能性があります。
差異理由を記録して分析できるようにすると、改善につながります。
一斉棚卸と循環棚卸
一斉棚卸
決算期などに全在庫をまとめて数えます。
全体を同じ基準時点で確認できる一方、品目数が多い場合には大きな作業になります。
循環棚卸
倉庫や商品を分けて、日次・週次・月次で少しずつ棚卸します。
例えば、
- 高額品:毎週
- 回転率の高い商品:毎月
- 安定商品:3か月ごと
といった運用です。
| 方法 | 特徴 | 向いている現場 |
|---|---|---|
| 一斉棚卸 | 全在庫を一度に確認 | 品目数が少ない |
| 循環棚卸 | 少しずつ継続確認 | 品目数が多い |
| 重点棚卸 | 高額品・差異品を優先 | 管理工数が限られる |
棚卸結果の承認と変更履歴
誰でも自由に在庫数を修正できるシステムでは、差異の原因が分からなくなる可能性があります。
例えば、
担当者が棚卸入力 → 責任者が確認 → 在庫調整を承認
という流れを設定します。
修正前数量、修正後数量、理由、担当者、日時を履歴として残せると、後日の確認にも利用できます。
在庫分析・発注点・アラート機能
基本的な在庫データが正しく蓄積できるようになったら、
- 在庫回転
- 滞留在庫
- 欠品
- 発注点
- 安全在庫
などを確認できます。
例えば在庫数が10を下回った場合に、
「発注対象」
として表示する仕組みがあります。
ただし、自動発注や需要予測を先に導入するより、基本となる入出庫データを正確にすることが重要です。
AIによる需要予測は在庫管理の次の段階
AIを利用して需要を予測したり、発注候補を提案したりする方法もあります。
ただし、十分な履歴データがない場合や、そもそも在庫データが正確でない場合には、高度な分析を導入しても有効な判断材料にならない可能性があります。
まず、
商品マスタ → 正確な入出庫 → 棚卸 → 販売・需要履歴
を整備します。
その後、AIや予測を検討する順番が現実的です。
権限管理・操作履歴
複数人が在庫管理システムを利用する場合には、権限管理も重要です。
例えば、
- 一般担当者:入出庫のみ
- 倉庫責任者:棚卸・在庫調整
- 管理者:商品マスタ・利用者管理
というように操作できる範囲を分けます。
また、
- 誰が
- いつ
- 何を
- 変更したか
を履歴として確認できるようにすると、誤操作や在庫差異の原因を調査しやすくなります。
SaaSで十分な企業・Quick Packが向いている企業・フルスクラッチが必要な企業
機能を整理したら、次にどの方式で実現するかを考えます。
SaaS・既製パッケージが向いている
- 標準的な入出庫・棚卸で十分
- 独自帳票が少ない
- 特殊な連携がない
- 業務を標準機能へ合わせられる
- 低コスト・短期間を優先したい
この場合には、既製サービスを優先して検討する方が合理的です。
Mactism Quick Pack 在庫管理が向いている
- ExcelやAccess管理が複雑化している
- SaaSでは業務に合わない
- 独自の項目がある
- 自社帳票を使いたい
- 特殊なCSVを利用している
- 入出庫・棚卸を自社ルールへ合わせたい
- 将来的に発注・販売・基幹連携へ広げたい
- フルスクラッチほど大きく始めたくない
この場合には、基本機能をテンプレートとして利用し、必要部分だけをカスタマイズする方法があります。
フルスクラッチ・基幹再構築が向いている
- 業務全体が独自
- 在庫以外も大規模に刷新する
- 多数のシステムを統合する
- 特殊な業務ロジックが多い
- テンプレートを使うメリットが少ない
この場合には、最初からより大きなシステムとして計画した方がよい場合があります。
Mactism Quick Pack 在庫管理の費用目安
マクティズムでは、現在次の費用目安を公開しています。
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| テンプレート導入・軽微調整 | 150万〜300万円 |
| 業務カスタマイズ | 300万〜600万円 |
| 拡張・基幹等との連携 | 600万〜1,200万円 |
| 導入後の保守・改善 | 月3万〜10万円 |
150万〜300万円程度では、Excel・紙管理から基本的な在庫管理へ移行し、管理項目、画面、帳票、CSVなどを調整するケースを想定しています。
300万〜600万円では、入出庫、棚卸し、ロケーション、発注などを会社の業務に合わせて調整するケースがあります。
600万〜1,200万円では、販売管理、発注、基幹システムなどとの連携を含む案件を想定します。
実際の金額は、画面数、帳票、データ移行、連携、バーコード対応などによって異なります。
月額数千円程度の在庫管理アプリを探している企業向けのサービスではありません。
その場合には、一般的なSaaSやアプリを先に比較する方が適しています。
在庫管理システムの詳細を見る
在庫管理をExcelで続けていると、入出庫履歴、棚卸、在庫差異、複数人利用で限界が出やすくなります。Excel修正だけでなく、在庫管理システム化も相談できます。
在庫管理システム導入前に整理すること
システム導入を成功させるには、最初に現在の業務を確認します。
例えば、
入荷 → 検品 → 入庫 → 棚入れ → 保管 → ピッキング → 出庫 → 出荷 → 返品 → 棚卸し
のどの工程で問題が起きているかを整理します。
システム化する範囲を決める前に、
「そもそもこの作業は必要か」
も確認します。
今のExcelやAccessをそのままシステム化しない
現在のExcelに30項目あるから、新システムにも30項目必要とは限りません。
10年前に必要だった項目が現在は使われていないことがあります。
同じ情報を複数の表へ入力しているケースもあります。
現在の運用をそのまま電子化するだけでは、使いにくいシステムになる可能性があります。
マクティズムでは、
- なくせないか
- まとめられないか
- 順番を変えられないか
- 自動化できないか
を確認しながら、システム化する範囲を整理する考え方を重視しています。
導入前のチェック項目
確認する項目としては、
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 商品 | SKU数、単位、分類、ロット |
| 拠点 | 倉庫数、店舗数 |
| 利用者 | 人数、権限 |
| 入出庫 | 件数、処理種類 |
| 棚卸 | 頻度、作業人数、差異 |
| ロケーション | 棚管理が必要か |
| バーコード | 現在コードがあるか |
| CSV | 入出力形式 |
| 連携 | POS・EC・販売管理等 |
| 帳票 | 現在使っている帳票 |
| データ移行 | Excel・Access等 |
| 将来 | 発注・販売等への拡張 |
などがあります。
端末・バーコードプリンターを選ぶ
コード運用をする場合には、システムと同時に端末も検討します。
-
スマートフォン
低頻度の読取、小規模な現場に向きます。
-
タブレット
画面を大きく表示したい現場に向きます。
-
ハンディターミナル
大量読取や倉庫現場に向きます。
-
バーコードリーダー
パソコン前で商品コードを読み取る場合に利用できます。
端末は「高性能なもの」を選ぶのではなく、作業量と環境に合わせます。
ラベルプリンター・ラベル設計
独自バーコードを発行する場合にはラベルプリンターを利用します。
ラベルには、
- 商品コード
- 商品名
- バーコード
- ロット
- 期限
などを印刷できます。
ただし、ラベルへ情報を詰め込みすぎる必要はありません。
コードを読み取ってシステムから詳細を表示できるのであれば、現場が識別するために必要な情報だけを印刷する方法もあります。
データ移行
ExcelやAccessからシステムへ移行する際には、
- 重複
- 表記ゆれ
- 不要データ
- 商品コード
- 単位
- 現在庫
などを確認します。
特に現在庫を移行する時点が重要です。
旧システムから在庫を抽出した後にも入出庫が発生すると、新システム開始時の在庫がずれる可能性があります。
本番切替時の入出庫をどう扱うかを事前に決めます。
テストでは通常処理だけ確認しない
入庫と出庫が正常に動いただけでテスト終了にしてはいけません。
実際には、
- 返品
- 数量訂正
- 商品間違い
- 在庫不足
- 棚移動
- 廃棄
- 棚卸差異
- 通信障害
- CSVエラー
などが発生します。
例外処理も含めてテストします。
現場教育
現場担当者へ、
「このボタンを押してください」
という操作だけを説明するのでは不十分です。
- なぜ入庫をその場で登録する必要があるのか、
- なぜ棚を移動したらシステムへ登録する必要があるのか、
を理解してもらうことも重要です。
理由が分からなければ、忙しいときに「後で入力」が増え、リアルタイム在庫の信頼性が下がります。
無料アプリ・Excelでも十分なケース
在庫管理システムが必要ない企業もあります。
例えば、
- 商品数が少ない
- 担当者が1人
- 入出庫が少ない
- 複数倉庫がない
- 履歴管理が不要
であれば、Excelや無料アプリで十分な場合があります。
高額なシステムを導入する必要はありません。
重要なのは、「Excelかシステムか」という二択ではなく、現在の業務規模に合った方法を選ぶことです。
Excelで在庫管理を自作する場合
Excelで在庫管理を行う場合には、
- 商品マスタ
- 商品コード
- 商品名
- 分類
- 単位
- 保管場所
- 入出庫履歴
- 日付
- 処理区分
- 商品コード
- 数量
- 担当者
- 在庫集計
- 入庫合計-出庫合計
という構成が基本です。
USBバーコードリーダーを利用し、商品コードをExcelへ入力することもできます。
小規模運用では十分実用的です。
Excel在庫管理の限界
一方で、
- 複数人の同時操作
- 権限
- 履歴
- 複数倉庫
- データ量増加
- マクロ保守
- ファイル破損
などが課題になることがあります。
特にExcel VBAで高度なシステムを自作したものの、作った担当者が退職し、修正できなくなるケースには注意が必要です。
Excelで実現できるかどうかだけではなく、数年間維持できるかを考えます。
Accessで作られた在庫管理をWeb化する場合
Accessで在庫管理を行っている企業もあります。
長年使用しているAccessには、
- 独自帳票
- 商品管理
- 受発注
- 在庫計算
- VBA処理
などが蓄積されていることがあります。
Web化するときにすべてをそのまま再現すると、必要以上に開発規模が大きくなることがあります。
現在使っている機能と、使っていない機能を分けます。
さらに、
- 残す
- 改善する
- 廃止する
- 新しく追加する
を整理して移行します。
Excel・Accessからシステムへ切り替える判断基準
次の状態が増えている場合は、専用システムを検討するタイミングです。
- ファイルが複数ある
- 最新データが分からない
- 同時編集に問題がある
- 棚卸しに時間がかかる
- 在庫差異の原因を追えない
- 複数拠点になった
- 権限管理が必要
- 担当者へ依存している
- Accessが古くなった
- POS・EC等と連携したい
一つ当てはまっただけで直ちにシステム化する必要はありません。
現在発生している損失や作業時間と、システム導入費を比較します。
業種別に必要な機能は異なる
小売・EC
必要になりやすいのは、
- 商品マスタ
- 店舗別在庫
- POS連携
- EC連携
- 返品
- バーコード
- 棚卸し
です。
似た商品、カラー、サイズが多い場合には出荷検品も重要になります。
製造業
製造業では、
- 原材料
- 部品
- 仕掛品
- 完成品
- ロット
- 生産との関係
などを考えます。
単純な在庫管理だけでなく、生産管理との連携が必要になる場合があります。
卸売業
卸売業では、
- 多品種
- 複数仕入先
- 複数得意先
- 複数倉庫
- 販売管理
- CSV
などが重要になることがあります。
倉庫業
倉庫業では、
- 荷主
- 入庫
- 出庫
- ロケーション
- 預かり在庫
- 入出庫履歴
- 棚卸し
などが中心になります。
作業指示や進捗管理まで詳細に行う場合には、WMSの範囲になります。
「導入事例」は数字だけで判断しない
他社の導入事例を見る際には、
「棚卸し時間を○%削減」
という結果だけを見るのではなく、
- 導入前の作業方法
- 対象商品数
- 倉庫数
- 利用人数
- 導入機能
- 運用変更
を確認します。
同じ機能でも、企業規模や業務内容が違えば効果も異なります。
自社と似た条件かどうかが重要です。
システムを入れた後に確認するKPI
導入効果を判断するためには、導入前後で同じ指標を確認します。
例えば、
- 棚卸し時間
- 在庫差異件数
- 出荷ミス
- 欠品件数
- 在庫確認時間
- Excel集計時間
- データ入力件数
- 緊急発注件数
です。
システム導入そのものを成功とするのではなく、実際の業務が改善したかで判断します。
マクティズムが考える在庫管理システムの作り方
マクティズムでは、「機能一覧に載っている機能を全部入れる」ことを良いシステムとは考えていません。
パッケージ製品のように多くの機能を搭載しても、現場が使わなければ意味がありません。
また、現在のExcelやAccessをそのままWeb化するだけでも、既存の非効率な業務が残る可能性があります。
そのため、
- 今の業務で本当に必要なもの
- なくせるもの
- Excelの方が便利なもの
- システム化した方がよいもの
を整理します。
画面についても、できるだけ現場で迷わず使える、シンプルで直感的な構成を目指します。
Mactism Quick Pack 在庫管理という選択肢
Mactism Quick Pack 在庫管理は、
SaaSでは業務に合わない
一方で、
フルスクラッチほど大きく始めたくない
企業向けのテンプレート型カスタマイズ開発です。
入庫、出庫、在庫一覧、在庫移動、棚卸し、CSV、帳票、権限などの共通機能をテンプレート化し、会社ごとに異なる部分だけを調整します。
そのため、例えば、
- 「商品項目だけ特殊」
- 「帳票だけ自社仕様」
- 「現在のCSVを取り込みたい」
- 「複数倉庫へ対応したい」
といった要件では、すべてをゼロから作らずに対応できる可能性があります。
一方、標準的な入出庫と棚卸しだけでよい企業には、一般的なSaaSの方が適している場合があります。
マクティズムでは、最初からQuick Packを前提にせず、現在の管理方法から適した方式を整理します。
まとめ|在庫管理システムは必要な機能だけから始める
在庫管理システムには、
- 商品マスタ
- 入庫
- 出庫
- 在庫一覧
- 棚卸し
- ロケーション
- 在庫移動
- バーコード
- ロット
- 期限
- CSV
- 帳票
- 権限
- 外部システム連携
など、多くの機能があります。
しかし、すべてを最初から導入する必要はありません。
まず、
- 在庫が合わない原因は何か
- どの作業に時間がかかっているか
- どこで二重入力しているか
- 誰が最新情報を確認できず困っているか
を整理します。
そのうえで、
商品マスタ → 入出庫 → 在庫一覧 → 棚卸し
という基本機能から始め、
必要に応じて、
ロケーション → バーコード → 発注 → POS・EC → 販売・基幹システム連携
へ広げる方法があります。
Excelや無料アプリで十分なら、そのまま利用することも正しい選択です。
標準的な業務へ合わせられるのであれば、既製SaaSを利用する方が早く、低コストになる可能性があります。
既製SaaSでは自社業務に合わず、一方でフルスクラッチほど大規模にはしたくない場合には、テンプレート型カスタマイズ開発が選択肢になります。
そして、非常に独自性が高く、在庫だけでなく販売・生産・購買など企業全体を見直す場合には、フルスクラッチや基幹システム再構築を検討します。
重要なのは、
「どの機能があるか」ではなく、「どの機能が自社に必要か」
です。
マクティズムでは、現在使用しているExcel、Access、紙帳票、CSVなどを確認し、残すもの、直すもの、なくすもの、システム化するものを整理できます。
要件が完成している必要はありません。
- 「在庫が合わない」
- 「棚卸しが大変」
- 「Excelが複雑になった」
- 「Accessを作った担当者がいない」
- 「バーコードを使いたいが、どこから始めればよいか分からない」
という段階から、必要な機能を整理できます。
現在の在庫管理が、既製SaaSで十分なのか、Mactism Quick Pack 在庫管理が適しているのか、より大規模な個別開発が必要なのかを確認することが、失敗しにくい在庫管理システム導入の第一歩です。
今使っているExcel・Access・紙の管理方法をもとに、どの機能を残し、どこからシステム化するべきか確認したい場合は、現在の運用方法から相談できます。
在庫管理システムの詳細を見る
在庫管理をExcelで続けていると、入出庫履歴、棚卸、在庫差異、複数人利用で限界が出やすくなります。Excel修正だけでなく、在庫管理システム化も相談できます。